レビュー

2010年夏、東京国際映画祭で5年ぶりの台湾特集の開催が決まり、リサーチのため台北に降り立った。『海角七号 君想う、国境の南』(08)によって火がついた新世代の躍進はさらに進んでいた。西門町の映画館には台湾の新作が並び、場内は若者で沸きかえっている。少し前までは考えられなかった光景だ。
そんな熱気のなかで『台北カフェ・ストーリー』に出会った。これぞ新世代台湾映画!
たちまち魅了された。とびきりの美少女姉妹が経営するオシャレな喫茶店(実在するカフェで、この映画のヒットで行列必至となった)。姉は『藍色夏恋』(02)以来、台湾のみならず日本男子も虜にしてきたグイ・ルンメイ。文句なし! それだけでもスゴいのに、妹役の新星リン・チェンシーのちょっぴり不思議ちゃん系の可憐さ。スター誕生だ!
劇的なストーリーが展開するわけではないのに引き込まれる。お客に混じりカウンターに座って彼女らと会話している感じ。ただただ「眼福」「至福」のひととき。
この映画を観ながら、特集のタイトルを「台湾電影ルネッサンス2010~美麗新世代」に決めていた。台湾のことを「美麗島」というのと、実はこの姉妹の「美麗」を掛けたのだった。

石坂健治
(東京国際映画祭「アジアの風」プログラミング・ディレクター/日本映画大学教授)